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【コラム】意識しないことは意識することより難しい

Column 03
意識しないことは意識することより難しい

吃音を心理面から改善する方法のひとつに“吃音を意識させない”指導法があります。これは吃音を意識していない状況では流暢に発話でき、反対に意識すると予期不安や緊張により流暢な発話を妨げるという仮説にもとづいています。

私自身も“吃音を意識しない”というアプローチの経験がありますが断念しました。“何かを意識しないこと”は“何かを意識すること”よりも遥に難しいと実感したからです。

“意識しない”ことを意識することより、意識して流暢に発話することを繰り返すことによって意識しないでも流暢に発話できるようになると考えます。何を意識するかと言えば「声の仕組み」という基本中の基本です。

一流のスポーツマンは「基礎」を大切にするという話をよく耳にします。基礎の中にこそ奥深さがあるとのこと。例えば野球での素振りは基本中の基本。イチローさんは、角度の違い、力の入れ具合、体重の乗せ方など細かい部分の意識することで今まで気づかなかったことが見えてくると語っていました。

発話での基礎は、声の3要素「息」「声帯」「声道」です。普段は何気なく行っている動作の細かい部分を意識してみると新たな発見が必ずあります。この3要素が正しく機能して連動することで声は生まれ、それが「声の仕組み」を妨げない発話に繋がり、吃音から脱することができます。

この考え方はごく一般的で自然なことです。声の仕組みはどなたでも独学で学べます。自分のカラダに向き合えるのはご自身のほかには存在しません。地道にコツコツと継続すればターニングポイントはきっと訪れます。