Kさんのリポート#3。Kさんの課題は、日常会話のなかでゆっくり話すための”カラダの使い方”をどれくらい意識できるか、その確率の検証。それから約半月。
結果は「ほぼ意識出来なかった」と。
実はそれに気づいて欲しかったので、Kさんへの課題は成功だ。そう、話しているときに他のことを意識するのはとても難しいことなのだ。話す内容に意識が向かっているのと並行してカラダの動きまで意識を巡らせるのはとても大変な作業である。2つのことに対して同時に意識を集中させることは簡単でない。
もうひとつ。「ほぼ」ということは全く意識出来なかった訳でなく、意識できたこともあったということ。ここにも大切な気づきがある。出来ない訳でなく、確率を高めるには時間がかかるのである。だからこそ、ステップを踏みながら、強く意識することに慣れることも重要になる。
目で見ることのできない部分で起こっているカラダに強固に染み付いた癖を修正する、この難しさと可能性を実際に体験したことは、これからの取り組みに大きな価値をもたらすはずである。
録音した声の感想について尋ねたところ、ある変化が起こっていた。
それは、他人が聞いている本当の自分の声や話し方と、自分がカラダで感じていた吃音を客観的に聞くことに慣れてきたことだ。これは、今後、改善・克服に取り組むにあたって、自分で評価・分析できる準備が整ったということ。VOL.6の鏡の話を思い出してほしい。正しく現実を映し出す鏡は絶対必要だ。
次の課題は、録音した声の吃音の様(さま)と、そのときカラダで起きていることを紐づける作業である。まだ、声や呼吸の仕組みを学ぶ前の段階なので、専門的な用語は使わず、自分だけが分かる擬音語でも何でもいいから言語化に挑戦する。結構、難しい課題だと思う。