VOL.10の続きで、Kさんの話し方で気づいたことその2。
声を作るのにカラダの前側で浅い部分しか使っていない。喉から声を絞り出しているような声である。こういうカラダの使い方をする人は非吃音者にもいるが、呼吸や声の仕組みにかなった作り方とは言い難いので、吃音の改善・克服という観点からは修正した方がよい。
修正するために、声の元となる息が出入りする肺の構造を知ることがヒントになる。
肺は肋骨(あばら骨)、脊柱(背骨)、心臓、横隔膜(筋肉)に囲まれ、胸膜という膜を介してくっ付いている。と説明されてもピンと来ないと思うが、CGで肺が膨らんだり萎んだりする様子を見ると、肋骨や背骨や横隔膜と連動して動いているのがよく分かる。まさに呼吸はカラダを使った動きである。
その肺は意外に大きい。上下で言えば、上端は鎖骨よりも高く、下端はお腹側がみぞおちまで、背中側は腰の上まで伸びている。奥行きは、背中側に厚みがあって全体の容積は背中側の方が大きく、成人では計6~7リットルもある。1回の呼吸で入れ替わるのは半リットル程度で、浅い呼吸ではそれ以下、深い呼吸では2リットル程度の空気が流れる。
ついでに、息の通り道である気管(気道)の長さや太さはと言うと、左右の肺に伸びている気管支が合流したところから声帯まで10〜12cm、直径は2cm。まさに息のホースである。
肺から押し出された息が気道を通って声帯にあたるまでの空間的なイメージと、実際のサイズ感を知ると、いつもよりたっぷりゆったり息を使えるような気がしないだろうか?
声を喉から絞り出しているような方は、カラダの背中側を意識した呼吸がオススメ。