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多感な思春期の真っ只中にいると、吃音の悩みはとてつもなく大きく、進路の選択肢を狭めたり、社会人になってからのことを想像することすら躊躇したい気持ちはよくわかります。

どうやったら吃音を改善・克服できるのか、できれば短期間で…ネットで調べ、チャレンジしては落胆の繰り返しではないでしょうか?私もそういう経験の繰り返しでした。ここでお伝えしたいのは「吃音をどう捉えるかで改善・克服の方法が変わってくる」ということです。吃音をカラダに染み付いた癖だと捉えれば、癖を直すようなアプローチをとれば改善・克服できます。

私自身、神様から与えられた一生背負うしかない病気?障害?だと勝手に思い込んでいました。一方で、人前で歌うカラオケではどんなに緊張しても吃音は100%起こらないので何故だろう?私の考えはこうです。カラオケでは音程に集中しています。その音程を外さないように脳がカラダに指令を出して発声器官が反応します。スピーチでは文字に捉われています。苦手な文字だったり、人前など緊張する場面では、カラダに染み付いた吃音癖が現れます。もちろん、伴奏やリズムの有無という違いはありますが、声は音であり、カラダの動きそのものです。この発想が声の仕組みという原理原則に原点回帰して、解剖学に関心を持ったキッカケでした。

それ以降、解剖学の本を読み漁り、声に関する器官(咽頭や喉頭など)の構造に興味をもち、勉強を始めました。知識を得ただけでは吃音は直りませんが、知ることで間違いなく吃音に対する考え方に変化が起こりました。声をカラダの動き(動作)として捉え、”吃音”はその動作が間違っているサインであることに気づき、克服できるかも知れないという希望の光が見えた瞬間です。半信半疑ながらも”癖に違いない”と割り切ったことで気持ちも随分楽になりました。

目指すべきは、声の仕組みを妨げないカラダの使い方(声の出し方)です。ただ、カラダを使う感覚はひとそれぞれに異なっていて本人しか分かりません。カラダの使い方=その人だけのコツみたいなものですから、その感覚を表現するのも、他人に説明するのもなかなか難しいものです。

とてもシンプルなことですが、間違ったカラダの使い方が習慣になっていてそれに気づけない、気づいても一気に変えられず時間がかかるため挫折しがちです。ひとりで悩まず誰かにサポートを受けることで、遠回りせず吃音を改善・克服できます。

もし、今の自分が学生時代の自分にコーチするとしたら、何を教えて何に気づいてもらうのか、気づいたものをどうやって練習しスキルとして身に付けるのか等、本人の中にしかない答えを本人主体で探せるようアドバイスするでしょう。この考えをベースにコーチング・カリキュラムを組んであり、本人が考える姿勢や本人が答えを導き出すプロセスを重視しています。

もちろん、私とあなたは吃音に対する考え方も歴史も違いますし、私がすべて正しいとは思っていません。ただ、”声の仕組み”という原理原則を理解し、改善・克服に繋がるコツを自ら見つけ、繰り返し練習し、それを習慣にするという考え方は自然だと思います。改善・克服の方向性さえ掴めば吃音の恐怖は相当薄れます。そして習慣化していくうちに吃音のことを忘れてしまうことでしょう。

吃音の改善・克服を通して自分の力で自分を変えることができたという経験や自信は、将来、本当に向き合わなければいけない何かに必ず役立ちます。吃音を乗り越え、自分の夢を諦めないでほしいと心から願っています。

taka3

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