吃音だった頃の僕は、親や先生・友だちの前では強い子でいたかった。
本当は、吃音がつらかった。
誰かに助けてほしかった。
でも、親に心配されたくなかった。
クラスで同情してほしくなかった。
とにかく弱い自分を見せたくなかった。
だから、どんなに苦しくても「大丈夫」って強がっていた。
本当の気持ちを隠して、何でもないように振る舞っていたんだ。
今振り返ると、あの頃の僕は、吃音のことを一人で抱え込んでいた。
どうして自分だけ声が出ないんだあろう。
どうしたら吃音が出ないんだろう。
どうしたら普通に話せるんだろう。
そんなことばかり考えていた。
一人で悶々と考えていると、頭の中が吃音のことでいっぱいになる。
不安や恐怖がどんどん大きくなって、ほかの考え方や可能性が見えなくなっていく。
僕は、そんな状態を「吃音モンスター」と呼んでいる。
今思えば、あの頃の僕には、誰かに相談するという選択肢があってもよかったんだと思う。
誰かに話すことで、自分一人では気づかなかった考え方に出会えたかもしれない。
違う見方ができたかもしれない。
でも、当時の僕は、それができなかった。
10代の頃って、自分の気持ちを整理したり、客観的に自分を見つめたりすることも、簡単ではないと思う。
だからこそ、今、吃音のことで悩んでいる人に伝えたい。
一人で抱え込まなくてもいい。
親でも、友達でも、先生でも。
自分が話せそうだと思える人に、相談してみてもいいんだよ。
うまく説明できなくてもいい。
何から話せばいいか分からなくてもいい。
誰かに話すことで、今まで見えなかったものが見えてくるかもしれないから。